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けしからん工場 「KASETZ」

工場に仮の姿を与え、創造の場へと変革する。

アズビル湘南工場の生産エリアに新設されたKASETZは、工場で働く従業員が工場の個性を創出するための専用プラットフォームである。「けしからん工場をつくりたい」という代表の言葉を起点に、8名の工場メンバーとともに、効率だけではない創造的な工場のあり方を探求したプロジェクトである。


issue

「けしからん工場をつくりたい。」

本プロジェクトの契機は、代表取締役社長による「工場とAIで何か取り組んでほしい」という発言であった。これに加え、「よりけしからん工場を目指してほしい」という方針が示されたことが、プロジェクトの出発点となった。「けしからん」とは、既成概念や常識的な制約にとらわれることなく、自由な発想と行動を実践することを指す。効率性・生産性の追求にとどまらず、工場そのものが新しい取り組みを発案し、創造の場として機能することが本プロジェクトの根本的な問題意識である。

工場が創造の場としての役割を担うことは、日常的な工場のあり方とは質的に異なるものである。本プロジェクトは、工場に「仮の姿」を付与するものと位置付けられる。日常業務においては可視化されにくい工場の潜在的側面を仮設し、多様な可能性を継続的に検証していくというコンセプトから、「KASETZ」の名称が導出された。まず工場に勤務するメンバーと協働しながら、「仮の姿」の具体的な内容および工場空間への導入のあり方を、ゼロベースから検討することが初期の課題として設定された。


Creation

仮の姿を仮設し、工場の個性を引き出す。

プロジェクト参加者として選出された8名の工場メンバーそれぞれに仮の設定として「キャラクター」を付与することが、最初の取り組みとして実施された。日常業務においては効率性と正確性が優先される一方、創造的な活動に従事するにあたっては、それとは異なる個人の側面を引き出す必要があると判断された。仮設定の付与を通じて、通常の業務範囲では表出しにくかった個性や専門領域が次々と浮かび上がった。

設計や計画を優先するのではなく、まず試作して考察するという方針のもと、完成形の見通しが立たない段階からプロトタイプの制作が開始された。工場空間への仮設と検証、毎週のアイデア更新、CGや図面を活用したアイデアの具体化など、従来の工場にはなかったアプローチを繰り返すことで、プロジェクトの内容を継続的に改良していった。


ものづくりのサーカス ―変化し続ける双方向の居場所―

KASETZは、完成された空間ではなく、ものづくりのための仮設の舞台として設計された。将来他の場所への移設も可能な構成により、試作や実験のためのプロトタイプの舞台が立ち上がる。つくる人がそのまま演者となり、訪れる人は観客であると同時にいつでも舞台に参加できる。観ることと演じることは動的に入れ替わり、ものづくりの過程そのものが公開されていく。人が主役となり、新しい試みや試作が次々と生まれていく場として機能している。

空間の目的は3つに整理される。
第一に「居場所をつくる」
人が気軽に立ち寄り滞在できる場所を設け、議論も雑談もできる空間の中で、未完成のものづくりの過程もそのまま見せていく。
第二に「ものづくりをひらく」
つくる人が主役となり試作の過程を共有することで、普段の仕事や立場の違う人々が交わり、観る人とつくる人が入れ替わりながらものづくりを開いていく。
第三に「空間を更新していく」
仮設で移設も可能な構成と可変性を持つ空間を、使いながら継続的に更新していく。人が空間に働きかけ、余白や段差を使いこなしながら、その場で新しい試みや遊びを生み出していく。


KASETZシステム

各種アウトプットをアーカイブし、誰でも参照・活用できるKASETZシステムを構築した。ゲームカセットの操作体験を模したこのシステムは、メンバーの個性・知財アイデア・プロジェクト情報を直感的かつ楽しみながら共有できる仕組みである。成果物を蓄積し誰もが利用可能な状態にすることで、創造活動の連鎖的な拡張が期待される。プロジェクトが増加するにつれ多様なカセットが蓄積されることで、活動全体の継続的な発展に寄与することが見込まれる。


失敗みくじ

azbil社員の実際の失敗談データをもとに、AIがおみくじテキストを生成し、レシートプリンターで印刷・出力する体験装置である。「失敗は隠せば毒になり、語れば薬になる」という思想のもと、おみくじ形式でゲーム感覚・偶然性のある体験として他者の失敗から学びを得ることができる。個人の失敗を組織の財産として蓄積・共有することが本コンテンツの目的であり、工場に「失敗の墓場」を仮設するというコンセプトから生まれた体験装置である。


のぞき穴

工場には多彩な経歴・技術・趣味を持った人材が集まっている。その一人ひとりの世界を「覗くだけでも楽しい」と思えるほどの個性の豊かさをテーマにした体験装置である。架空会社NOZ Inc.を舞台に、工場で働く人たちの個性・世界観を可視化し、互いの世界観を共有し合うことを目的とする。「のぞく」という行為そのものが、最も能動的かつ個人的な楽しみ方であるという考えを起点に、訪れる人が工場に内在する多様な個性を体感できる仕組みとして設計されている。

Future

工場全体への創造的視点の波及。

8名からスタートしたKASETZに、より多様なメンバーが参加していく予定である。仮の設定のもとで創造活動に取り組める場が確立されたことにより、工場内に新たな動きが生まれつつある。KASETZへの参加経験のない従業員も巻き込みながら、創造的な視点を工場全体へ波及させることが次のフェーズにおける課題として位置づけられている。


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Project Owner

Azbil Corporation

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Tags

Communication DesignBrandingPrototyping

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